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| Vol.6 マイペンライな休日(サムイで待ち合わせ編) 〜タイ・サムイ島〜 の巻 |
| 飛行機の丸い窓から外を眺めると、私がそれまでに見たどの海より も透明で美しいブルーの海が、太陽の光を受けてキラキラと輝いて いた。そして、その中にポッカリ浮かぶように小さな島が見えてきた。 島全体が緑に覆われていたので最初は無人島かと思ったが、やが て近付いてみると、細い道路や小さな家々、そしてまっすぐに伸びた 白い滑走路が見えた。どうやらここが『サムイ島』のようだ。 私がまだ一人旅や自由旅行に「目覚めて」いなかった八年近くも前 の事。高校の時の同級生男女合わせて十人程のメンバーで「サムイ 島に行こう!」という計画が持ち上がった。この頃まだアジアにさほど の興味も無かった私はこの時まで「サムイ」という島がある事さえ知ら なかった。 |
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| サムイ島とはタイの南部にあり、ココ椰子が生い茂る美しい秘島なのだそうだ。(現地ではコ・サムイと 呼ばれている。コは島の意味)今ではすっかりメジャーなリゾートになっているが、この頃はまだあまり 一般的には知られていなかった。なぜそのサムイへ行こうという話になったかというと、私とは小・中・ 高とずっと同じ学校で、アジア雑貨の店に勤めていた廣井という友人が、前に訪れた事のあるこの島 を強く押していたのだ。彼の話によると、数年前まで電気も通っていなかったという事だが“秘島”とい う響きに惹かれるではないか! しかし「そんな訳の分からない島行って大丈夫なの?」と不安を訴える者が出てきたり、仕事が休めな かったりという理由で一人減り二人減り、結局残ったメンバーは、やはり私とはずーっと同じ学校で、も う二十ウン年の友であるたぬき(彼女は「顔がたぬきに似ている」というシンプルな理由で今もそう呼 ばれ続けている)、おっとりしているがこの旅に関しては常に意欲的だったえっちゃん、廣井、そして私 の四人だけになってしまった。しかも、1番頼りにしていた廣井は買い付けの仕事がある為、先にタイに 行っているのでサムイで落ち合おうと言い出した。少し不安も無くはなかったが、外国で友達と待ち合 わせなんて、想像するだけでますますワクワクしてくるのだった。 |
![]() 街はどこもの〜んびり |
女子チーム三人は終日フリーのツアーで無事サムイに到着。 そして約束の午後六時より少し遅れて宿泊するホテルのロビーに行く と、廣井はソファに座って私達を待っていた。顔を見るまでは「本当に ちゃんと来るのかなぁ。会ったらさぞかし興奮するんだろうなぁ」と感激 の対面を想像していたのだが、廣井はごく自然に「おっ、来たね〜」な どと近所の道端で会った時の様にさらっと言うもんだから、私は肩透 かしをくらい、一人でキャーキャー大騒ぎするのもおかしいような気が して「どーもどーも」なんて平静を装ってしまったが、内心はかなり興 奮していた。しかし、よく日焼けした顔に顎ヒゲを生やし、髪はオール バックにして後ろで一つに束ね、ニットの帽子をかぶっているその姿 は前にも増して“現地の人”っぽくなっている。はたから見たら「あの 三人の日本人ビーチボーイに引っかかっちゃったよ」なんて思われて るんじゃないだろか? |
| 私達はホテルのすぐそばにあったオープンエアーのこじんまりしたレ ストランへ夕食をとりに出掛けた。店のおっちゃんが「今日とれたこ んなエビやカニがあるけどどうだい?」なんて持ってきてくれる。トム ヤンクン、焼そば、エビやカニのグリル、シンハビールなどなど、テー ブルが一杯になる位料理を頼んだのだが、それでも日本円で千円 ちょっとと聞いてビックリ!そしてそのどれもがまたオイシイのだ!! 特にさっき見せてもらったエビとカニは絶品で、みんなウマイウマイ を連発して食べまくった。タイで食べる初めてのタイ料理は大満足だ った。お腹が一杯になったところで、明日の予定を考える。私はパラ セイリングをした事がなかったので、ぜひ1度やってみたかった。 |
![]() 敬愛する私のマイペンライな友人達 |
| 「じゃあ、バイク借りて島一周して、それからチャウエンビーチでパラセイリングしよっか!」 廣井のその提案はもの凄く魅力的だったが、女三人は誰もバイクに乗った事がない。もし事故でも起こ したら、と思うと少し不安だ。 「平気平気。バイクって言ってもカブだからすぐ乗れる様になるよ。教えてあげっから。マイペンライだよ」 「マイペンライねぇ・・・」 “マイペンライ”とはタイ語で「気にしない」「大丈夫」「問題ない」という意味の言葉だそうで、タイ人の口 癖のようなものらしい。この言葉が口癖という事は、この言葉を使うような出来事が頻繁に起こるという 事ではないか?しかし、まるで心配はないという自信に満ち溢れた廣井のその言葉に、女子チーム三 人はすっかりその気になってしまったのだった。 |
![]() いざ出発!こんな道がつづく・・・ |
翌朝午前九時、廣井がカブに乗って迎えに来た。こちらでバイクとい うと、ほとんどがホンダのカブ(よく配達に使われているやつです)な のだそうだ。まずはホテルの向い側にあるレンタルバイク屋に行くと、 保証としてパスポートを預けるのだという。日本人のパスポートはア ジアでは特に高く売れると聞くし、預けて平気なのかなぁと思ったが、 考えてみればこんな小さな島では悪い事をしたらすぐにバレて、大き なホテルの前に店を出す事など出来なくなってしまうだろう。シンガポ ール以外にアジアの国には行った事がなく、それまで正直言って 『アジア=危ない』というあまり良いイメージを持っていなかった私は、 騙されたり詐欺にあったりしないようにといった事ばかり気にして硬く なっていたけれど、この島の人達はのんびりしていて、お店の人など も全然ガツガツしていないので拍子抜けする程だった。 |
| 私達はパスポートを預け、カブを三台借りると、早速「カブ乗り方講座」が始まった。まずはエンジンのか け方から教わる。足元のレバーをキックするのだが、何度かやるとコツがつかめ、えっちゃんと私はすぐ に出来るようになった。しかし、たぬきだけはどうしても出来ず、結局この日たぬきがエンジンをかけられ る事は一度もなかった。乗る時になると、何度かトライはするものの、最後には「マキー、お願〜い!」 と情けない声を出すので、全て私がかける事になってしまったのだ。 「じゃ、乗ってみようか!クラッチはこれでギアは足でこうやって、ブレーキはこれ。こっちのハンドル回せ ばアクセルだから」 そんな簡単な説明で乗れるか〜っ!!と思ったが、やってみると案外出来てしまうものである。しかし、 まだちょっとフラフラするのに 「行っちゃお!走ってればすぐ慣れっから。へーキヘーキ」 と廣井は出発してしまった。こいつは本当に“マイペンライ”を地でいくヤツである。 「うそっ、ちょっと待ってよーー!!」 我ら三人も後に続いて走り出した。 |
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